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  •  不登校・「ひきこもり」の子どもさんにとって、勉強・進学・受験をどう考えたらいいのでしょう?
     これには、いろいろな意見があります。
     「勉強・進学・受験など競争や管理はよくない。そういう競争や管理から子どもを解放すべきだ」と勉強・進学・受験をまったく否定される方(団体)もありますし、「何を甘いことを言っているのか! 人間、競争は当たり前だろう!」という考え方もあります。

     もちろん、「強制」はよくないでしょう。「何を甘いことを言っているのか! 人間、競争は当たり前だろう!」というのも一理ありますが、事態を悪化させるだけです。
     一方、「勉強・進学・受験など競争や管理はよくない。そういう競争や管理から子どもを解放すべきだ」という考え方も、極端に過ぎるでしょう。こちらも事態を悪化させる恐れがあります。
     むしろ、その両極の考え方のバランスをとっていくことが、いちばん大切なのです。ご安心ください。「いい意味での常識」が、親御さんにも子どもさんにも、ちゃんと備わっています。

     きっと、親御さんの心でも、「甘やかしてはイケナイ。ちゃんと社会の厳しさを経験させて、将来、普通に働けるようになってもらわなければ!」という気持ちと「今、この子は悩んでいるのだから、社会の厳しさから解放してあげて、安らげるようにしてあげよう」という気持ちが、葛藤しているに違いありません。それは、どちらも正しいことなのです。ただ、子どもさんが不登校・「ひきこもり」になってしまうと、バランスを失って、どちらか極端に走ってしまいがちです。
     さきほど、「いい意味での常識」と申し上げたのは、この二つのバランスです。通常、人は、このバランスをうまくとりながら、生きています。だから、どちらのお気持ちも、子どもさんにぶつけてもいいのです。ただし、バランスよくですが。

     実は、この二つは、不登校・「ひきこもり」の子どもさんの心の中で、もっと激しく葛藤しています。「競争や管理なんてイヤだ!」という気持ちと「自分は甘えているだけだ。ちゃんと社会でやっていかなければ!」という気持ちが、嵐のように激しく葛藤しているのです。
     一般の子どもさんにも、この二つはありますが、まぁ、うまくバランスをとってやっているわけです。
     ところが、不登校・「ひきこもり」の子どもさんは、「まじめ」で「真剣」ですから、悩みすぎて、このバランスが崩れてしまっているわけです。たとえば、「甘えていずに、ちゃんと学校に行こう」という気持ちが強すぎて、かえって、学校に行けなくなってしまうわけですね。こんなときに、「競争からの解放」だけ、あるいは、「甘えるな」だけを周囲が言ってしまえば、余計バランスは崩れてしまいます。事態はより悪化してしまいます。
     大切なのは、上手に、バランスを元に戻すことです。もちろん、それはそれで大変な作業なのですが、私たちがひとつ信じていいのは、不登校・「ひきこもり」の子どもさんの中に、「競争や管理から解放されたい」という気持ちと「勉強して進学して、ちゃんと社会人としてやっていきたい」という気持ちとの共存、という「いい意味での常識」がちゃんと備わっているということです。

     不登校・「ひきこもり」の子どもさんに「勉強・進学・受験」を「強制」するのは、子どもさんに備わっている「いい意味の常識」を余計壊してしまい、事態は悪化するだけです。しかし、「勉強・進学・受験」を否定するのも、せっかく備わっている「いい意味での常識」を壊してしまうことになります。
     子どもさんは、これから何十年も生きていくわけです。大切なのは、「解放」と「勉強」とが、ちょうどいいバランスをとって共存する「いい意味での常識」を回復させてあげることです。

        岩田澄人先生